不信感から感情的に対立した遺産分割|「情報の透明化」と「第三者の介入」で穏便な解決に至った事例

ご相談の経緯

依頼者である姉妹は、亡くなられたお父様の遺産分割について、相手方である弟と3名で協議を行っていました。依頼者様は良かれと思い、銀行口座の解約などの手続きを率先して進め、その都度相手方にも報告していました。

しかし、相手方は「自分だけ除け者にされている」「姉たちが勝手に決めている」という疎外感を募らせ、次第に攻撃的な態度をとるようになりました。依頼者様は話し合いを求めたり、手続に関与するよう促しましたが、相手方はまともに応じない一方で、不満だけが肥大化。

当事者間ではこれ以上の手続き進行が不可能となり、当事務所へご依頼をいただきました。

【解決のポイント:なぜ当事者だけでは難しかったのか】

  1. 背後に隠れた「相続権のない親族」の影響

協議を進める中で、相続人ではない親族が相手方に対し、アドバイスや干渉を行っている影が見え隠れしていました。相手方自身の「疎外感」に加え、外部からの声が混ざることで、依頼者様の言葉を素直に受け取れない状態に拍車がかかっていました。当事務所は、あくまで相続人3名の権利と義務にフォーカスし、論点を整理することで、外部の影響を排した冷静な協議を実現しました。

  1. 収支の全容開示による不信感の払拭

預貯金だけでなく、本来は相続財産に含まれない「香典」や「死亡共済金」なども含め、すべての収支を網羅した目録を作成しました。情報を100%オープンにし、弁護士が中立的に説明することで、相手方の抱いていた「隠し事があるのではないか」という疑念を解きました。

  1. 公平な清算ルールの提示

葬儀費用や、依頼者様が立て替えていた諸経費を遺産から差し引く計算を明確にし、残額を3等分するという「法的に最も公平な案」を提示。途中、相手方から遺産分割とは直接関係のない細々とした主張も出されましたが、それらの点についても丁寧に耳を傾けながら、今回の手続きにおいては、まずは遺産分割の合意を成立させることが最善の解決策である旨を説明し、最終的な合意に至りました。

【結果と弁護士のコメント】

弁護士が第三者として介入し、感情的な対立を「数字」と「法的な整理」に置き換えたことで、最終的には全員が納得する形で穏便に協議が成立しました。

親族間の相続では、本件のように「相続権のない親族(元配偶者や配偶者など)」の助言が、かえって対立を深めてしまうケースも少なくありません。当事者同士では、どうしても相手の言葉の裏を読んでしまい、感情が先行してしまいます。

弁護士が間に入ることで、背後にある複雑な人間関係から切り離された「公平な話し合い」の場を設けることができます。泥沼化する前に、ぜひ一度ご相談ください。